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養蚕の数字⑥

今日は養蚕の講座を受けてまいりました。
教えていただいたことを少し書き留めておこうと思いました。


群馬県富岡市の繭代について。

農家さんがJAに出荷されるとき、繭はキロ4000円以上で取引されています。
そのほとんどは補助金です。
補助金額の内訳は
 1,200円 大日本蚕糸会
 300円 群馬県の補助金
 900円 群馬県の補助金(条件あり)
 900円 市町村の補助金(条件あり)(補助金額は市町村によって異なる)
そして碓氷製糸場が支払う繭代金が700円で、合計して4000円となるわけです。

つまり、本来の繭代金はキロ700円でしかないのです。

また、年間1トンの繭を取るためのモデルケースを教えていただきました。
・春 5箱
 夏 4箱
 初秋 3箱
 晩秋 5箱
 初冬 3箱
 合計 20箱

常勤作業者 2名
パート作業者(5齢時の採桑、給桑、上蔟など) 2名
上蔟時のパート 3名


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養蚕の数字⑤

次に、蚕を飼うためにどれだけの面積が必要かの数字です。

ざっと書きます。

春蚕
0.1㎡ = 130~140頭
1箱(30,000頭) = 20.3㎡~20.7㎡ = 飼育台7.5~8間
(※近頃は9~10間くらいに広く使って飼育されていることが多いです)
(※飼育台は幅1.5メートルとする)
(※1間は1.81メートル)

気温が上がるたびに、これよりさらに広げて飼育します。

蚕が混みすぎると減蚕歩合が大きくなります。
つまり、繭になるまで育つ確率が減ります。
ただ、あんまりスカスカにしてもよくないみたいで。
ほどほどの「密集具合」というのが一番よくゴハンを食べ、成長するようです。
現在は
1箱 = 飼育台10間
を目安にしていることが多いと思われます。
1.5メートル × 1.81メートル × 10間 = 27.15㎡
30,000頭 / 27.15㎡
(1,000頭あたり 0.905㎡)

現代のお蚕さんは広々、のびのびと育てられています。



具体的に大きさが想像できない…と思われる方に。
卓球台(ファミリー用ではなく競技用のちゃんとしたサイズのもの)は、大きさが幅152.5センチ×長さ274センチと決まっているそうです。
1間がおよそ1.8メートルですので、卓球台の長さのだいたい66%ぐらいが1間。
その大きさが「飼育台1間」の大きさです。
そしてその大きさのところに、お蚕さんが3000頭ほど放たれる、というイメージです。
卓球台一面に飼育するのであれば、3000頭÷(1.81÷2.74)=4,545頭、ということです。
卓球台が10台置ける面積なら、1.5箱飼育できる、
3箱飼育したいのなら、卓球台を20台置ける面積が必要、ということになりますね。

卓球台1台につき、4,545頭

畳1畳(910mm×1820mm、1.6562 m2)ならば、だいたい1800頭ぐらいでしょうか。

畳1畳 = 1,829頭

つまり畳1.5畳のスペースがあれば、蚕が2700頭ほど飼育でき、繭は1個2グラム換算でも5キロほどの収繭量を期待でき、生糸1キロ分になり、織物1反分になる、ということですね。

畳 1.5畳
 ↓
蚕 2700頭
 ↓
繭 5キロ
 ↓
生糸 1キロ
 ↓
織物 1反

ざっくり計算ですので、目安程度にとどめてくださいね。


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養蚕の数字④

1アールの畑から約70キログラムの桑の葉が収穫される、というお話をしました。

1アール = 桑 70キログラム

ちなみにこれも、下記の情報を聞いたことがあります。

桑の品種「一ノ瀬」 10アール = 1,668キログラム
桑の品種「しんいちのせ」 10アール = 1,713キログラム
(※春蚕期)

あれ? 計算が合わない? と思いましたか? 私も思いました。
1アール=70キログラムというのはあくまで標準、桑の品種、植え方、手入れの仕方、肥料、土地、日当たり、春、夏、秋、それぞれの要因で大きく違います。
よい繭はよい桑から、の言葉通り、小さな面積の畑でもびっくりするぐらいの桑が取れる畑もあれば、大きな面積からたくさん取ってきたけれど、重量はそれほど上がらない、ということがあります。
特に春は枝(条)の部分が太く立派であることが多いので、自然、重さが出るようになります。

さて、お蚕さんにどれくらいの桑がいるのか。
飼育標準表から引用します。
30,000頭を飼育した場合の必要な桑の量です。

1齢
1日め 310グラム
2日め 760グラム
3日め 1,130グラム
計 2.2キログラム

2齢
1日め 0.5キログラム
2日め 3.2キログラム
3日め 3.1キログラム
計 6.8キログラム

3齢
1日め 2.0キログラム
2日め 6.9キログラム
3日め 11.0キログラム
4日め 8.5キログラム
計 28.4キログラム

4齢
1日め 25キログラム
2日め 40キログラム
3日め 52キログラム
4日め 65キログラム
5日め 43キログラム
計 225キログラム

5齢
1日め 20キログラム
2日め 70キログラム
3日め 95キログラム
4日め 145キログラム
5日め 170キログラム
6日め 200キログラム
7日め 200キログラム
8日め 200キログラム
9日め 170キログラム
10日め 70キログラム
計 1,340キログラム

(春蚕 飼育標準表 群馬県 より引用)

合計すると、

30,000頭 = 1602.4キログラム

ということになります。
思ったよりも少ないですか?
私もそう思っています。
実際に数字を見ると、少なく感じてしまいますね。

軽トラックの最大積載量が350キログラムですね。
というわけで、3箱を育てている農家さんの場合、5齢の6日目あたりでは、1日に必要な桑の量が600キログラムになります。
軽トラ2杯分ですね。
そして農家さんは「毎日必要量ぎりぎり」を収穫してくるわけではありません。
少しでも余計に桑を食べさせて大きな繭を作りたい、雨や不慮の事故に備えて少しでも多く桑を取っておきたい、と考えますので、実際は3杯~4杯くらい取ってきたりします。

3箱の蚕を飼育しようと思えば、最も忙しい時期は、軽トラ3~4往復分の桑を毎日取りに行かねばならない、ということです。
これが養蚕で一番大変な所です。

ところで、これ、最初にだした数字と見比べてください。

桑の品種「しんいちのせ」 10アール = 1,713キログラム
30,000頭 = 1602.4キログラム

30,000頭を飼育するには10アールの畑が必要、ということになります。
(※実際は足りなくなると思いますので、桑は余るようにたくさん作っておいたほうがよいです)

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養蚕の数字③

繭層歩合、という言葉があります。

農家さんから出荷される繭には、
・繭
・中のサナギ
・サナギのガラ
が含まれているのです。

繭を購入する側からすれば、重さの中で純粋な繭の歩合が多ければ多いほど「お買い得」なのです。
だって繭のお値段は、重さで決まるのですから。

というわけで、繭層歩合というのが計算されます。

これは品種、作柄によって違います。
改良された品種(春麗鐘月やぐんま200など)だと、分厚く大きな繭を作りやすく、繭層歩合は大きくなります。
逆に小石丸など日本古来からの品種は、小さく薄い繭を作りがちなので、繭層歩合はなかなか大きくなりません。
作柄が良いと、繭は大きくて分厚い繭になるので、繭層歩合は大きくなります。
逆に、薄皮繭が多かったり、サナギが太りすぎているなど、悪い条件が重なると、繭層歩合は小さくなります。

一般的に、20%~26%ぐらいと言われていますが、品種によっても大きく変わります。
また、セリシンとフィブロインの比率は、この検査ではわからず、繭層歩合が大きくても、セリシンの比率が高ければ「糸にしたときに思ったより重量が取れなかった」ということになりますし、逆に化粧品会社などでセリシンが大量に欲しい場合は、セリシンの比率が高い繭を求められることになります。

逆算して、
1キログラムのシルク(糸にする前の、セリシン・フィブロインの両方を含む状態)を手に入れるためには、
およそ5キロの繭(中身にサナギが入っている状態の生繭)が必要ということになります。

シルク1キロ = 生繭 5キロ



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養蚕の数字②

ではお蚕さんの頭数について。

一般的に「一箱」「二箱」と言った呼び方でお蚕さんの量を呼び表すことがよくあります。

一箱 = 30,000頭

一箱からどれくらいの繭が取れるかというと、農家さんによって違います。
また、稚蚕共同飼育で3齢まで飼育する場合は、収繭量は上がります。
また、春蚕は同じ箱数でも繭は多くなり、逆に夏や初冬は飼いにくいため、収繭量が落ちます。
だいたい、40キロ後半~60キロ後半ぐらいです。

一箱 = 30,000頭 = 40~60キログラム

富岡市では繭の価格がキロ当たり4000円以上となり、また稚蚕共同飼育、養蚕指導員の皆様方などの尽力、それに皆様がベテラン農家さんなので、農家さんのほとんどが箱当たり60キロ前後をキープしています。
ですので、一箱当たり240,000円ほどになるでしょうか。

一箱 = 30,000頭 = 40~60キログラム = 240,000円

各家庭で稚蚕から育てると、壮蚕まで育つ頭数が減ったり、また自治体によってはキロあたり2000円ほどの繭価格だったりすることを考えれば、養蚕をするのなら富岡市でするのが、金銭的には良いのではないかと思います。

養蚕農家さんのモデルケース(?)として
5月(春蚕)に3箱
7月(夏蚕)に3箱
9月(晩秋)に3箱
10月(初冬)に1箱
で、年間10箱、年収240万円、という計画を立てることができます。
※ただし、一蚕期に3箱を買おうと思えば、家族3人くらいで繁忙期にはお手伝いさんも雇うくらいで計画をしたほうがよいです。




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