【蚕の城 明治近代産業の核】 馬場明子 著
2015年発行の本ですので、新しい情報がたくさんあります。
・今も風穴を使って蚕種を保存
⇒停電で冷蔵庫がダメになってしまうケースを考え、リスク分散されているそうです。
・意外に、冷蔵庫より風穴のほうがいい
⇒湿度があるので蚕種(水分を多く含む)にとって快適な環境。しかも空気が循環しているので雑菌が少なくカビが生えづらい。そのため孵化する確率が高い。
・田中義麿設計の蚕室では、朝6時30分、11時、4時30分、夜の10時30分、夜中の2時30分の5回、桑をあげていたそうです。
・幻の強健性品種「万家」と繭質有料の品種「満鉄一号」の行方が気になります。
・クワコとカイコのかけあわせ第一世代はすべてクワコの遺伝子が優性になるそうです。
・日本錦:田中義麿博士が九大につれてきたカイコで、九大において変異種を分別する際の「標準カイコ」となっているとのこと。ほぼ同時期に同経緯で九大に来たカイコに「千代鶴」がいる。
・綿蚕(ワタコ):複数のカイコが同一の繭を作ることが多い品種。真綿用のカイコ。