カイコ(家蚕)に対して野蚕というのが、野山で育つ野生の蚕です。
この種類について覚書をば。
【天蚕】テンサン
皇居の紅葉山ご養蚕所にもクヌギの飼育林を設置されていて、天蚕もお飼いになられているとか。
日本特産とされていますが、ヒマラヤで発見されたり、中国にも現存しているそうです。
きれいな緑色の繭を作りますが、色素はセリシンに含まれているため精錬すると色は落ちてしまいます。
クヌギ、カシ、カシワ、ナラ、マテバシイ、ヤマモモなどを食べます。
セリシンが石鹸溶液で簡単に溶解します。
【柞蚕】サクサン
セリシンがタンニンによって不溶性になっています。シャンタン、ポンジー(絹紬)はこれで織られています。
【タサール蚕】
インドで各地に生息しています。
セリシンがタンニンによって不溶性になっています。大衆衣料やインテリアに使われています。
【ムガ蚕】
アッサム地方で飼育されています。細くて生成り、黄金食の美しいつやを持ちます。サリーやショールなどを織られています。
【エリ蚕】
ヒマやシンジュの葉を食べて育つので、別名はヒマ蚕と呼ばれています。糸繰りができない構造のため、紡績糸にします。大衆衣料やインテリアに使われています。
参考「シルクのはなし」 技報堂出版